ドローン外壁調査に資格は要る?飛行・12条・赤外線で整理

ホーム»新着情報»外壁調査»ドローン外壁調査に資格は要る?飛行・12条・赤外線で整理
外壁調査

ドローン外壁調査に資格は要る?飛行・12条・赤外線で整理

2026年10月31日

ドローン外壁調査に必要な「資格」は1つではありません。ドローンを飛ばすための決まり(航空法)、12条の定期報告で調査者になれる人(建築基準法)、赤外線の熱画像から浮きを判定する人に求められる知識(ガイドライン)の3つが、別々に定められています。結論からいうと、ドローンの国家資格(無人航空機操縦者技能証明)はすべての飛行で必須の資格ではなく、12条の調査者になれるのは一級建築士・二級建築士・特定建築物調査員です。

この記事でいう「ガイドライン」は、一般財団法人日本建築防災協会が設置した委員会がまとめた「定期報告制度における赤外線調査(無人航空機による赤外線調査を含む)による外壁調査ガイドライン」(令和4年3月)です。国土交通省が、打診と同等以上の精度かどうかの判定に参照するよう示している資料です。役割ごとに何が求められるのかと、発注する側が確かめておきたいことをまとめます。

役割ごとに求められるもの

ドローン外壁調査には、少なくとも次の4つの役割があります。1人が複数の役割を兼ねることもあり、ガイドラインの解説も、それぞれの要件を満たす人が業務に支障のない範囲で兼ねることは妨げないとしています。

役割根拠求められるもの
ドローンを飛ばす(操縦者・事業者)航空法機体の登録。特定飛行に当たる場合は、原則として国土交通大臣の許可・承認。技能証明と機体認証、係留などの条件を満たすと、一部の許可・承認が不要になる制度がある
12条の調査者(外壁調査実施者)建築基準法第12条一級建築士、二級建築士、特定建築物調査員のいずれか
熱画像の撮影・分析と浮きの判定(赤外線調査実施者)ガイドライン建築物と赤外線調査の十分な知識と、建築物調査などの実務経験。法律で決まった資格はない
ドローンの運用の統括(ドローン調査安全管理者)ガイドライン建築物調査とドローンの飛行の両方の知識

ドローンを飛ばすために要るもの

機体の登録

国土交通省によると、2022年6月20日から、100g以上の無人航空機は機体の登録が義務になっています。登録されていない100g以上の機体は飛ばせません。機体には登録記号を表示し、原則としてリモートID機能も備えます。ただし、2022年6月19日までに登録手続きをした機体など、搭載が免除される条件に当たる場合があります。

特定飛行と許可・承認

航空法では、国土交通大臣の許可や承認が必要になる空域・方法での飛行を「特定飛行」と呼びます。

  • 空域:空港等の周辺、地表または水面から150m以上の高さ、人口集中地区の上空、緊急用務空域
  • 方法:夜間の飛行、目視外の飛行、人または物件から30m以上の距離を確保できない飛行、催し場所の上空、危険物の輸送、物件の投下

ただし、空域・方法には除外があります。国土交通省の運用の解釈では、150m以上の高さでも、地上・水上の物件から30m以内の空域は、この高さの規制から除かれます。30mの距離を保つ相手は、飛行に関わっていない第三者と、関係者以外が所有・管理する物件(第三者の物件)です。人口集中地区は、最新の指定と扱いを確かめます。除外に当たっても、別の規制への対応が要る場合があります。

同じ解釈では、十分な強度のある紐など(長さ30m以内)で地表や固定物に係留し、第三者の立入りを管理する措置などを講じた飛行について、人口集中地区の上空、夜間、目視外、第三者から30m以内、物件の投下の個別の許可・承認が不要になる制度もあります。立入りの管理が機能しない場合は、係留していても必要な許可・承認がなければ飛ばせません。

外壁調査は建物の近くを飛ぶため、人口集中地区での飛行や、第三者の人・物件との距離が30mに満たない飛行に当たる場合があります。特定飛行をするときは、許可・承認が要るかどうかとは別に、事前の飛行計画の通報と、飛行日誌の作成が必要です。

国家資格(技能証明)は必須ではない

令和4年12月に、無人航空機操縦者技能証明(一等・二等)の制度が始まりました。国土交通省は、技能証明書の取得は無人航空機の飛行において必須事項ではないと案内しています。立入管理措置を講じて行う飛行(カテゴリーⅡ)では、技能証明がなくても、審査を経て許可・承認を受けられる場合があります。

技能証明は、手続きの面で効いてきます。カテゴリーⅡのうち、人口集中地区の上空、夜間、目視外、人・物件から30m未満の飛行は、総重量25kg未満の機体で、技能証明を持つ人が機体認証を受けた機体を飛ばし、飛行マニュアルの作成などの安全措置を講じれば、許可・承認を不要にできます(夜間・目視外は技能証明の限定変更が要ります)。空港等の周辺、150m以上、催し場所の上空、危険物の輸送、物件の投下は、技能証明や機体認証があっても許可・承認が必要です。

立入管理措置を講じないで行う飛行(カテゴリーⅢ)は扱いが違います。一等の技能証明を受けた人が、第一種機体認証を受けた機体を飛ばし、運航管理が適切かを確かめられたうえで許可・承認を受けた場合に限られます。技能証明の有効期間は3年です。

民間の講習修了証の扱いが変わった

以前は、国土交通省のホームページに掲載された講習団体の技能認証を持っていれば、許可・承認の申請資料の一部を省略できました。国土交通省のお知らせ(2025年12月15日)によると、この運用は令和7年12月18日に施行された審査要領の改正で廃止されました。操縦者に関する資料は、国の技能証明があれば引き続き一部を省略できます。機体に関する資料の省略(型式認証や機体認証を受けた機体の場合)は、これとは別の扱いです。

発注者の立場から見ると、大事なのは資格の名前よりも、その現場の飛行が許可・承認や、許可・承認を不要にする条件で裏づけられているかどうかです。

電波の手続き

使う機体と電波によっては、無線局の免許や、無線従事者の資格が要る場合があります。業務用の映像伝送などで免許の要る周波数を使うかどうかも、あわせて確かめておくと安心です。

12条の定期報告で調査者になれる人

建築基準法第12条第1項は、定期報告の対象となる建築物の所有者(管理者が別にいる場合は管理者)に、一級建築士・二級建築士、または建築物調査員資格者証の交付を受けている者に建物の状況を調査させ、その結果を特定行政庁に報告するよう定めています。建築物調査員資格者証の種類の1つが「特定建築物調査員資格者証」で(建築基準法施行規則第6条の5)、その交付を受けた人が特定建築物調査員です。ガイドラインは、一級・二級建築士とこの資格者をまとめて「特定建築物調査員等」と呼んでいます。

ガイドラインでは、この調査者を「外壁調査実施者」と呼びます。外壁調査実施者は赤外線調査の全体をまとめ、調査計画書の内容を確かめ、赤外線調査実施者が出した浮きの判定結果をもとに「著しい浮き」の有無を確かめて、外壁調査結果報告書を作ります。報告書には、外壁調査実施者の氏名、資格名と資格者番号、調査対象の部分、告示の判定基準に基づく判定が記載されます。調査の結果に責任を持つのは、この資格者です。

ガイドラインの解説によると、調査者が自ら打診などで調べる場合と、外壁調査を専門の調査会社に頼む場合があり、赤外線調査は専門の調査会社に頼むことが多いとされています。どちらの場合も、要是正かどうかなどの最終的な判断は、調査者が調査結果をもとに行います。

なお、ドローンの技能証明は12条の調査者の資格ではありません。逆に、12条の調査者がドローンを飛ばせる必要もありません。ドローンによる赤外線調査が12条でどう扱われるかは「ドローン外壁調査とは」と「12条点検でドローン赤外線調査は使えるか」で説明しています。報告を受け付けるかどうかの最終的な判断は、所管の特定行政庁の運用によります。

赤外線の解析をする人に求められること

熱画像を撮って浮きを判定する「赤外線調査実施者」について、ガイドラインは、建築物と赤外線調査に関する十分な知識を持ち、建築物調査などの実務経験がある人としています。熱画像の撮影から分析、浮きの判定までを行い、その責任を負います。撮影には、赤外線調査実施者の指示のもとで補助者や操縦者が撮る場合も含みます。解説では、熱画像の分析は、現地で調査を行った赤外線調査実施者が行うこととされています。

法律で決まった資格はありませんが、ガイドラインの解説は、一般社団法人日本非破壊検査協会が行っているJIS Z 2305による赤外線試験技術者(TT)の資格(免許ではなく適格性の証明)か、それと同等の知識と技量を持つ技術者が撮影・診断することが望ましいとしています。赤外線による外壁調査を行う団体・協会が設けた民間資格もあり、たとえば一般社団法人街と暮らし環境再生機構の「赤外線建物診断技能師」があります。

解説は、赤外線の技術だけでは足りないとも書いています。外壁調査には建築物の知識が欠かせず、打診の結果と熱画像を照らし合わせるため、打診の技術と経験も求められます。照らし合わせの具体的な手順は「ドローン赤外線と打診の精度の比べ方」で説明しています。

もう1つの役割である「ドローン調査安全管理者」は、建築物調査とドローンの飛行の両方の知識を持ち、操縦者や補助者をまとめて、現場の状況に応じて飛行の可否や中止を判断する人です。

発注者が確かめること

資格の名前を並べてもらうだけでは、調査の質はわかりません。誰がどの役割を担うのかを、書類で確かめるのが確実です。

確かめること何を見るかなぜ
飛行の根拠許可・承認書の写しで、飛行の場所・期間・方法が今回の調査に合っているか。技能証明と機体認証などで許可・承認を不要にする飛行なら、その条件許可・承認の範囲外の飛行は航空法上の問題になる
機体の登録使う機体が登録済みか100g以上の未登録機は飛ばせない
12条の調査者外壁調査実施者になる人の資格の種類と資格者番号、計画の確認から判定・報告書までの関わり方一級・二級建築士、特定建築物調査員でないと12条の調査者になれない
熱画像を分析する人撮影を担当・指揮した赤外線調査実施者が、分析・判定まで責任を持つか。補助者や操縦者が撮影操作をする場合の指示と確認の体制ガイドラインは現地で調査をした赤外線調査実施者が分析することを求めている
現場の安全体制ドローン調査安全管理者、補助者の配置、立入管理の方法飛行の可否・中止を判断する人が要る
保険加入している保険の種類と補償の額ガイドラインのドローン飛行計画書の記載項目に入っている
打診との組み合わせ打診で照らし合わせる場所と、赤外線を使わない部分の調べ方精度を確かめる工程で、費用にも関わる

業者の比べ方全体は「ドローン外壁調査の業者の選び方」にまとめています。

まとめ

ドローンの国家資格はすべての飛行で必須ではありませんが、特定飛行には原則として許可・承認などの裏づけが要り、カテゴリーⅢでは一等の技能証明と第一種機体認証を受けた機体が前提です。12条の調査者になれるのは一級建築士・二級建築士・特定建築物調査員で、調査の全体をまとめて判定と報告に責任を持ちます。赤外線の解析には法定の資格がない代わりに、ガイドラインが知識・経験と打診との照らし合わせを求めています。

当社のドローン外壁調査は、一等無人航空機操縦士(教官)・DPA認定インストラクター・赤外線建物診断技能師・第三級陸上特殊無線技士の資格を保有し、国土交通省の包括的な飛行許可・承認を取得して全国に対応しています(包括許可・承認の範囲外の飛行は、個別に手続きします)。12条の定期報告では、調査は当社が実施し、報告書の調査者として特定建築物調査員が署名します(最終的な適用可否は所管の特定行政庁の運用によります)。代表がこれまでに携わったドローンによる外壁調査は約700棟(前職・支援先での実績を含む)です。

よくある質問

参考にした資料

よくある質問

ドローン外壁調査に国家資格は必要ですか?
無人航空機操縦者技能証明(国家資格)は、すべての飛行で必須の資格ではありません。人口集中地区の上空や、第三者の人・物件から30m未満の飛行などの特定飛行は、原則として国土交通大臣の許可・承認が必要で、技能証明と機体認証、係留などの条件を満たすと一部が不要になります。カテゴリーⅢの飛行では一等の技能証明が必要です。
12条の定期報告の調査者になれるのは誰ですか?
建築基準法第12条第1項により、一級建築士、二級建築士、特定建築物調査員資格者証の交付を受けた特定建築物調査員です。この資格者が外壁調査の全体をまとめ、判定と報告書に責任を持ちます。ドローンの技能証明は調査者の資格にはなりません。
赤外線の解析に必要な資格はありますか?
法律で決まった資格はありません。ガイドラインは、建築物と赤外線調査の十分な知識と実務経験を求め、解説では日本非破壊検査協会の赤外線試験技術者の資格などを例に挙げています。
民間のドローン講習の修了証は今も使えますか?
国土交通省のお知らせによると、講習団体の技能認証で許可・承認の申請資料の一部を省略する運用は、令和7年12月18日に施行された審査要領の改正で廃止されました。操縦者に関する資料は、国の技能証明があれば一部を省略できます。機体に関する資料の省略は別の扱いです。
発注するときは何を確かめればよいですか?
許可・承認書の写しが今回の飛行に合っているか、12条の調査者の資格と関わり方、熱画像の撮影を指揮し分析する人の資格と経験、現場の安全体制と保険、打診との組み合わせ方を書類で確かめるのが確実です。
カテゴリー
外壁調査

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 ※ が付いている欄は必須項目です