赤外線外壁調査の仕組みと精度|わかること・限界

建物の上空を飛行して点検するドローン
ホーム»新着情報»外壁調査»赤外線外壁調査の仕組みと精度|わかること・限界
外壁調査

赤外線外壁調査の仕組みと精度|
わかること・限界

2026年07月21日(更新: 2026年10月03日)

外壁のタイルやモルタルの「浮き」を、足場を組まずに広い面で確認できる手法として広く使われているのが赤外線外壁調査です。ただし「赤外線なら何でも見える」というわけではなく、原理を理解しておくと結果の読み方や、他手法との使い分けが明確になります。この記事では、赤外線サーモグラフィがなぜ浮きを検出できるのかという仕組みから、精度に影響する条件、わかること・わかりにくいこと、そして建築基準法第12条点検での位置づけまでを、中立的な視点で整理します。

赤外線外壁調査の仕組み:温度差を「見る」技術

赤外線サーモグラフィは、物体の表面から放射される赤外線量をとらえ、温度分布を画像化する装置です。外壁調査では、この温度分布のわずかな差を手がかりに異常を推定します。

ポイントは、外壁が日射を受けたり冷えたりするときの熱の伝わり方です。タイルやモルタルが下地としっかり密着している健全部では、受けた熱が壁の奥へスムーズに伝わります。一方、下地との間に空気層ができた「浮き」の部分では、空気が断熱層のように働き、熱が奥へ逃げにくくなります。その結果、日射を受ける時間帯には浮き部の表面温度が健全部より高くなり、サーモグラフィ上で温度ムラとして現れます。この温度差を読み取ることで、目視では気づきにくい内部の浮きを面的に推定できるのが赤外線調査の本質です。

わかること・わかりにくいこと

赤外線調査は万能ではありません。得意な領域と苦手な領域を分けて理解することが、正しい活用の第一歩です。

  • わかること:タイルやモルタルの浮きの「疑い」を、広い壁面から効率よく抽出できます。足場や高所作業を減らしつつ、優先して詳しく調べるべき箇所の当たりをつけられます。
  • わかりにくいこと:ヘアークラック(微細なひび割れ)や、温度差として現れにくい軽微な変状は、赤外線だけでは判別が難しい場合があります。塗膜の状態や汚れによる見え方の違いもあるため、可視光画像との併用が重要になります。

赤外線が示すのはあくまで「温度異常」であり、それが即座に剥落の危険を意味するわけではありません。抽出した箇所を可視光で二重確認し、必要に応じて打診と組み合わせて判定精度を高めます。手法ごとの向き不向きは外壁調査の方法比較記事でも詳しく整理しています。

精度を左右する条件

赤外線調査の精度は、撮影時の環境条件に大きく左右されます。温度差が生まれる状況を選んで撮影することが、信頼できる結果の前提です。

条件精度への影響
天候・日射晴天で十分な日射があると温度差が明確になり検出しやすい。曇天・雨天は不向き。
時間帯日射で壁面が昇温する時間帯や、日没後に放熱する時間帯など、温度が動く局面が有利。
壁面の向き方位により日射の当たり方が異なるため、面ごとに撮影の適時が変わる。
撮影角度・距離斜めすぎる角度や遠すぎる距離は誤差要因。適切な正対と解像度が必要。
赤外線外壁調査の精度に影響する主な条件

これらの条件が揃わない状況で撮影すると、温度差が乏しく浮きを見逃したり、逆に日射ムラを異常と誤読したりするおそれがあります。天候や時間帯を踏まえた撮影計画が、精度確保の鍵になります。

地上式とドローン搭載の違い:死角を減らす

赤外線カメラを地上や近隣建物から構える従来の方法では、建物の高層部や入り組んだ面に対して撮影角度が浅くなり、死角が生じやすくなります。角度が浅いと温度の読み取り精度も落ちます。

ドローンに赤外線カメラを搭載すると、各壁面に正対する位置まで機体を近づけられるため、高層部や狭い面でも角度・距離を最適化しやすくなります。可視光カメラを併用すれば、同じ箇所を赤外線と可視光の両方で記録し、温度異常とひび割れ等を突き合わせて確認できます。この二重確認が、判定の確からしさを高めます。ドローンによる赤外線調査の詳細は外壁調査サービスのページで紹介しています。

12条点検での位置づけとWithnologyの対応

赤外線外壁調査は、建築基準法第12条に基づく定期報告の外壁全面調査の手法の一つとして活用されています。手の届く範囲の打診と、それ以外の面の赤外線調査を組み合わせるなど、建物の状況に応じた計画設計が求められます。

Withnologyでは、一等無人航空機操縦士・赤外線建物診断技能師の有資格者が対応し、損害賠償保険にも加入しています。飛行に必要な許可・承認は当社が取得し、東京都内を中心に全国で調査を行っています。12条の定期報告では、調査は当社が実施し、報告書の調査者として特定建築物調査員が署名します。平米単価140円(税抜)〜、自社開発の解析・報告書システム「WALLNOTE」により報告書を最短3営業日で納品します(建物規模により変動)。建物内部の天井裏やダクトなどの点検は狭隘部点検サービスと組み合わせることも可能です。

赤外線外壁調査の実施可否や費用感でお悩みの方は、まずはお気軽にご相談ください。建物の規模・形状に応じた最適な調査計画と、無料お見積りをご提案します。お問い合わせはこちらから承っています。

よくある質問

赤外線外壁調査はどのくらいの精度がありますか。
健全部と浮き部の温度差を利用してタイルやモルタルの浮きの疑いを面的に抽出できます。ただし精度は天候・日射・時間帯・壁面の向き・撮影角度に左右されるため、条件の整った撮影計画と、可視光画像との二重確認が精度確保の前提になります。
赤外線調査でひび割れもわかりますか。
温度差として現れやすい浮きの検出は得意ですが、ヘアークラックなど微細なひび割れは赤外線だけでは判別しにくい場合があります。そのため可視光カメラを併用し、必要に応じて打診と組み合わせて判定します。
地上からの赤外線調査とドローン調査は何が違いますか。
地上式は高層部や入り組んだ面で撮影角度が浅くなり死角が生じやすくなります。ドローン搭載なら各壁面に正対する位置まで近づけるため、角度・距離を最適化でき、可視光との突き合わせもしやすくなります。
赤外線調査は建築基準法第12条の定期報告に使えますか。
はい。打診と同等以上の精度を確保できる場合に、12条点検の外壁全面調査の方法の一つとして使えます。手の届く範囲の打診と赤外線調査を組み合わせるなど、建物の状況に応じた計画で対応します。Withnologyでは、12条の定期報告の場合、調査は当社が実施し、報告書の調査者として特定建築物調査員が署名します。
カテゴリー
外壁調査